2021年11月22日
ニガテな人を味方にしてしまう魔法のコトバ3選
「ニガテびと」
それは、あなたが無意識のうちに距離を置き、なるべく関わらないようにしてしまう人種たち——。
そんな「この人、ニガテだな〜」という人(=ニガテびと)が、1人や2人、いるのではないでしょうか?
たとえば、上司。
「上司が理由で会社を辞めたいと思ったことがある」人は、なんと65%にものぼるそう。
(出典:メディアBizHits、働く男女500人へのアンケート調査)
とはいえ、仕事では、どうしても関わらなくてはならない時ってありますよね。
そんな時は、距離を置くのではなく、むしろ自分の味方になっていただこう!
ということで、この記事では、様々なタイプの「ニガテびと」を3つのタイプ別に分類。
それぞれの特徴と、良い関係を保つためのコミュニケーションのコツをご紹介します!
それでは、さっそく、一緒に見ていきましょう!
①俺の言うことを聞け(ワンマンタイプ)
チームやグループなど複数で協力して仕事をするより、むしろ、自分一人で物事を決定したり進めたりするタイプの人。管理職に多い。
「あー、いるいる」と思った人もいるかもしれません。
新型コロナウイルスの影響が見通せないなか、たとえば、職場でこんな場面があったとします。
「冬のコロナの見通しが立たないですよね。リモートワークに慣れておけば、心配事も減ると思います。うちはフル出勤が続いていますが、今からでも、3割減くらいはできるんじゃないですかね?」
部下のこの提案に対して、ワンマンタイプはバッサリ。
「リモートワークは社員の顔が見えないからダメに決まってるだろう。コミュニケーションの質が落ちたら、事業に影響するじゃないか。通常通りで行こう!」
あなたがテレワークの導入を意見した部下Aだとすると、まずどう返事するのが良いでしょう?
回答を考える前に、このタイプに対して、これだけは言ってはいけないNGワードを見てみましょう!
「でも」「しかし」
「でも、リモートワークでも、ちゃんとコミュニケーションとっている企業もありますよ!
世の中がリモートワークに移行して人材を日本や世界中から獲得できる環境を整備しているのに、この機を逃したら、我々は他社から周回遅れになりません?」
いきなり頭ごなしに否定されたら、このように反論してしまいたくなるかもしれません。
ですが、ここは、いったん深呼吸。
なぜなら、ワンマンタイプの意見に対して、いきなり否定や逆の意見をぶつけて反論してしまうと、火に油を注ぐ結果を招きがちだからです。
ワンマンタイプの人は、一般的に責任感が人一倍強い傾向にあります。
また、「自分が責任を負って、成功に導いてきた」という自負もあるでしょう。
その結果、プライドが高く、負けず嫌いなタイプも多いです。
そのため、「でも」や「しかし」で話を始めると、「生産的な意見」を伝えたつもりが、相手には「攻撃」と映ってしまい、かえって信頼関係を損ねることにつながりかねません。
では、どう言えば良いでしょうか。
たとえば、こんな言い方をしてみると、どうでしょう?
私もそう思います。
ただ、一方で、通勤で社員が感染しやすくなるリスクもありそうです。
まずは、検討だけでも、してみませんか?」
ワンマンタイプに有効な魔法のコトバ「たしかに」
ワンマンタイプの考えに対して、あなたの意見と異なっていたり、世間の常識とかけ離れていたとしても、とっさに否定したり反論したりしてはいけません。
まずは「私はあなたの味方ですよ」という姿勢を示し、信頼される関係性を築くために、肯定的な言葉を送りましょう。
ただし、ウソを付く必要はありません。
ワンマンな人の意見の中から共感できるところを見つけて、それを肯定しましょう。
■プラスワン
「あなたの味方です」というメッセージを伝える方法は、「たしかに」と肯定するほかにもあります。
たとえば、まったく風邪を引かない部長に、このように言ってみます。
私も、部長のようになりたいです。
なにか日ごろから心がけていることがあるんですか?」
こんな風に、ささいなことでも、折に触れて相手を肯定するコトバを発してみましょう。
相手は、あなたを「味方」として認識する可能性が高まるでしょう。
ワンマンタイプの人はプライドが高い傾向にありますから、認められるコトバをかけられると、心地よく感じやすいのです。
よく「部下をほめて伸ばそう」という教育論を耳にします。
ですが、実は上司こそ「ほめられたい」「認められたい」と思っています。
上司がほめられる機会は、部下がほめられる機会よりも少ないからです。
そうした上司のアタマの中を想像して、ぜひ、相手を認めるコトバをかける機会をうかがってみましょう。
■イエスマンにならないために、できること
一方、なんでも「肯定するだけ」では、ただのゴマすりになってしまいます。
いったん肯定したうえで、自分の意見はきちんと進言しましょう。
では、どのように伝えたら良いでしょうか?
責任は上司にありますから、「別の方法もありますよ」と選択肢を示したうえで、判断そのものは委ねれば良いのです。
全員がイエスマンの組織ほど、もろいものはありません。
②私のことは別にいいのよ(自分のことは棚上げタイプ)
人の不出来にはよく気づくのに、自分にとって不都合なことには触れないタイプ。
周囲はみな「あなたには言われたくない」と思っているが、本人だけは気づいていない。
言っている事は「正論」なのに、言われた側は素直に従えない。
あるいは、なんだかイヤミを言われているように感じてしまう。
こんなとき、どうにもギクシャクしてしまいますよね。
たとえば、棚上げタイプの上司から、こんな風に言われたとしましょう。
「仕事は整理整頓が大事だよね。机の上の状態が、頭の中の状態という言葉もあるしね〜。もっと綺麗にしたら?」
たしかに、正論。
整理整頓が大事であることは、だれも否定しないでしょう。
ですが、こう言われたあなたは、ひょっとしたら、業務に追われて、一時的に机の上が散らかってしまっていただけかもしれません。
どう返事するのが良いでしょう?
まずは、このタイプに対して、これだけは言ってはいけないNGワードを見てみましょう!
「あなただって」
「(上司の)田中さんのデスクだって、そんなに綺麗じゃないですよね」
どんな相手であっても、アドバイスが的を射ているなら、まずは素直に認めましょう。
このとき、もし「あなたに言われたくないよ!」とイラッときたら、深呼吸。
ここで反射的に言い返してしまうと、余計ないざこざを誘い込み、あなた自身が負のスパイラルにおちいりかねません。
相手が上司や先輩であるなら、なおのこと。
相手のプライドを傷つけるだけでなく、相手から生意気な部下(後輩)と認識されるリスクがあります。
では、どうするかというと、ただただ、6秒間カウントしましょう。
怒りのピークは「長くて6秒」と言われているからです。
怒りとうまく付き合う方法、いわゆる「アンガーマネジメント」です。
その後、どのように返事をしたらよいでしょうか。
たとえば、爽やかに、こう返してみましょう。
ごちゃごちゃのままだと、仕事に不備があっても見落としてしまいますよね、以後、気をつけます」
自分のことは棚上げタイプに有効な魔法のコトバ
「ありがとう」
ここまで読んできて、
「感謝できるか自信がない」
「素直に『ありがとう』というのは何だか負けた気がする」と、
どうにも腑に落ちない人もいるかもしれません。
たしかに分かります。
ただ、相手に向けて発した「ありがとう」は、実はあなた自身にとって良い効果をもたらすのです。
事実、相手に感謝すると、自分自身の健康につながるという研究が、心理学や脳科学の分野で発表されています。
それによると、感謝すると、脳内にアルファ波が出るというのです。
(出典:研究所第 6 回フォーラム 「感謝すると well-being は高まるのか?」 相川充)
アルファ波は、リラックスしている心の状態をあらわす脳波のひとつと言われています。
■プラスワン
感謝を伝えるフレーズは、「ありがとう」のほかにもあります。
たとえば、「あなたのおかげ」という伝え方。
良い方向に進んだのは、「あなたのおかげ」。
言われたほうは、自然と気持ちよくなりますよね。
さらに、
というように、他の同僚や先輩の存在を介して感謝を伝えるのもオススメ。
本人から直接感謝されるのもよいですが、第三者から伝えられた方が、信ぴょう性が増すからです。
あなたに対する好感度も高まり、あなたを「味方」として認識してくれるでしょう。
③それ怒るところですか?(地雷タイプ)
なぜその事に怒っているのかわかりづらく、周りの人を困惑させてしまうタイプ。
周囲にとっては、怒りを爆発させるタイミングが予期しづらい。
予想もしない状況で、突然、怒りをぶつけられると、驚いてしまいますよね。
同年代の同僚、山田くん。
彼が、この地雷タイプだったとしましょう。
ある日、こんな風にあなたに迫ってきました。
「どうしてあの時、上司に電話したんですか!?
普通、上司より先に僕に相談するでしょう!?!?」
あなたには、相手がなぜ怒っているのか分かりません。
逆に、あなた自身も相手に対して不快感を抱かずにはいられない状況になっています。
どうしたらよいでしょうか?
ここで、「怒り」のメカニズムをカンタンに確認してみましょう。
心理学における「怒り」のメカニズムとは?
ひとは怒りを発する前に、悲しみや悔しさ、不安などの負の感情を心に蓄積する仕組みを持っています。
しかし、その容量を超えてしまうと、それらの感情が「怒り」として表にあふれ出てしまうのです。
ですから、怒りの根底には、悲しみや不安などが絡み合った複雑な感情が隠れています。
こうした感情が容量を超えたままの状態が続くと、ストレスが溜まり、心身に悪影響を与えることになります。
怒りは、心の中の混沌とした思いを発散する防衛反応としての役割もあるのです。
(出典:マイナビエージェント:アンガーマネジメントの意味とは?怒りのタイプ診断とイライラ解消法)
さて、「怒り」の根源は、過去の経験による「マイナスな感情」であることが分かりました。
ではどのように対応すべきでしょうか。
ここでも、まずは言ってはいけないNGワードから見ていきましょう。
①「知らない」
②無視をする(何事もなかったかのように振る舞う)
①「それはあなたにとっては常識なのかもしれませんが、そんなの知らないですよ」
②無視する (何をあんなに怒っているのだろう。面倒臭いからしばらく距離をおこう)
理解できないことに対して怒りをぶつけられた時、怒り返したり、または無視したりするのはお勧めできません。
相手の怒りを増幅させてしまいがちだからです。
やり過ごしたとしても、きまずい関係が長引き、仕事のパフォーマンスに悪影響を与えかねません。
では、どう言えば良いでしょうか。
地雷タイプに有効な魔法のコトバ
「くわしく聞かせてください」
実は、怒りがピークの相手には、何を言っても逆効果になりがち。
「ごめんなさい」と言えば、「謝っても済まないでしょう!?」
「ありがとう」と言えば、「バカにしているのか!?」
そんな風に、良かれと思ってかけたコトバが、火に油をそそぐ結果になってしまっては、元も子もありません。
そこで、まず「お話、聞かせてください」と伝え、こちら側に、相手の感情を受け止める準備があることを理解してもらいます。
これは、火事で言うところの「初期消化活動」です。
ポイントは「なる早」、スピード勝負です。
その後、相づちをうったり、「気持ち分かります」などの共感のコトバをはさんだりしながら、相手の怒りのピークが下がるのを待ちます。
「言いたいことをちゃんと聞いてもらえた」と思ってもらうことができれば、相手の怒りはトーンダウンするもの。
実際、聞き役に徹する相手に、ずっと怒り続けるのは、大変な体力が必要です。
相手のエネルギーがつきたときを見計らって、つぎにつながる建設的な話し合いに持ち込みましょう。
■プラスワン
一見、予測不能な地雷タイプにも、実は怒りを招きやすい、その人特有の「怒りスイッチ」があります。
たとえば、事前の報告がないことに腹を立てやすいとか、すぐに電話に出ないと一気にキレてしまうとか。
ただ、いつも自身の行動を修正するだけでなく、相手に改善点を伝えることも、ときには必要です。その方が、長期的にみれば、仕事のパフォーマンス向上にも繋がるでしょう。
ここで気を付けたいのは、「どこにフォーカスして伝えるか」です。
思ったままストレートに、相手の不備にフォーカスして伝えてしまうと、相手の機嫌を損ねるリスク大。ぜったいに避けましょう。
(相手の不備にフォーカス)
逆に、ものごとにフォーカスして伝えると、たとえばこんな風になります。
(物事の成功、達成にフォーカス)
NGワードのように、「相手の至らぬ点」を突く伝え方は、相手の士気をさげるだけでなく、成果物のクオリティまで下げてしまいます。
そうではなく、「物事を成功させるためには」というように、改善点を提案する伝え方を意識すると、相手を傷つけることなく、共通認識を持って改善しやすくなります。
さてここまで、様々な「ニガテ人を味方にしてしまう魔法のコトバ」をご紹介しました。
相手の意見を聞くことで、その後の「傾向と対策」をつかむことができます。
「ニガテびと」とのコミュニケーションを避けている人は少なくないでしょう。
しかし、その「ニガテだな〜」を1回でも「あ、うまくいった!」に変えられたら、毎日はもっとポジティブになるはずです。
是非、ポイントを思い出して、少しずつでもチャレンジしてみてください!
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- この記事を書いた人
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「伝え方研究所」研究員/グラフィックデザイナー
真実武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。 デザイン事務所、アパレル会社などを経て、現在もグラフィックデザインに従事。 言葉に救われ生かされた経験から、自身も他者を生かす言葉を学び、実践しようと奮闘するデザイナー。
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