私が新人時代に言われてうれしかったコトバ

私が新人時代に言われてうれしかったコトバ

「昔はパワハラなんて当たり前だった」と言われます。

 

ミスした部下にたいし、上司がモノをなげつけて怒鳴ったり、ひどい暴言をはいたり。

そんなことは「日常の一部」として語られてきました。

 

ですが、それも今はむかし。

「パワハラ防止法」なる法律も施行され、「パワハラ、ダメ、ぜったい」の世の中です。

 

 

この記事を書いている30代の私が新卒のころはすでに、上司の8割は「パワハラNG」をたたき込まれ、日ごろから“当たり障りのない”言葉づかいをしていたように記憶しています。

 

一方、上司の2割は「パワハラNG」の風潮を受け入れられないようでした。

「こんなのはパワハラのうちには入らない。昔はもっとひどかった」と、部下を人前で怒鳴ったり、真夜中の2時に電話をかけて指導したり、ということがあったのも事実です。

 

ただ、上司のふるまいがどうであれ、「そこに愛があるかどうか」だけは、新入社員の私にも、不思議とわかったものです。

 

一見、やさしそうな物言いだけど、なんだか冷たい。

逆に、怒鳴られているはずなのに、きちんと育てようとしてくれるのが分かるので、まったく嫌みを感じないということもありました。

 

大切なのは、上司と部下の関係性。

そして、何がそれを規定するかといえば、やはり「その上司がどんなコトバをえらび、部下に伝えたか」だったと思うのです。

 

そこで今回は、私が自分の新人時代をふり返り、救われた上司のひと言を紹介します。

 

そこに愛情を感じ、モチベーションが下がるどころか、上がったコトバが、たしかにあったなと思うのです。

 

「あなたのために、正直に伝えるね」

 

上司として、部下に厳しいことを言わなければならない場面は、かならずやってくるもの。

 

でも、感情にまかせて怒るのは、得策ではありません。

 

かといって、言いたいことをオブラートにつつみすぎても、伝えたいことが伝わりません。

 

そんな場面では、

 

「あなたのために、正直に伝えると、……」

 

と前置きしてみましょう。

 

このコトバには、「怒っているけど、それはあなたを応援しているからですよ」というニュアンスがこめられています。

 

実際に、私が新入社員だったころ、上司からこう言われて、ピッと背中がまっすぐになったのを覚えています。

 

 

「一度くらいの失敗でくじける人じゃないと信じてるよ」

 

「みんな最初は失敗するものさ。だれにでも失敗はつきものだから」

 

というコトバをよく聞きますが、新入社員にとっては、あまりなぐさめになりません。

なぜなら、そんなに達観できる余裕がないからです。

 

新人だったころの私は「そう言われても……」と腑に落ちない気持ちでした。

それに、なんだか突き放された感じがして、ただ「すみません」と言うしかなかったのを覚えています。

 

ですが、同じような場面で、唯一、響いたコトバがあります。

 

「一度くらいの失敗でくじける人じゃないと信じてるよ」

 

これです。

 

特に、「信じてるよ」というコトバが、ミソ。

「上司をがっかりさせたくない!このままじゃダメだ!」と、力が自然にわいてくるパワーワードです。

 

 

「自分も、そういうときがある」

 

仕事でミスをしてしまったとき。

得意先に迷惑をかけ、そのうえ上司にも叱られたら、新入社員でなくとも多少はヘコみます。

 

そんなとき、あなたは周りから、どんなコトバをかけられたいですか。

 

「そんなに気にしなくていいんじゃない?」

 

そう言われることもあるでしょう。

 

気持ちはありがたいのですが、でも、これでは正直、なぐさめになりません。

気にしたくなくても、気になるのです。

何しろ、自分のせいで人様に迷惑をかけてしまったのですから。

 

私が年の2つ上の先輩社員から言われて救われたのが、このコトバでした。

 

「自分も、そういうとき、あるよ。つらいよね」

 

孤立感が、いっきに安心感にかわる瞬間。

先輩社員への信頼がたかまり、前向きな気持ちになったのは言うまでもありません。

 

 

「頑張ってないと、悩めないから」

 

失敗して落ち込んでいる人をなぐさめるとき、「いつまでウジウジしてるんだ」と伝える人がいます。

 

これも相手との関係性によりますが、「ウジウジ」自体がネガティブな語感をふくむので、一般的には、あまりおすすめできません。

 

逆に、

 

「頑張ってないと、悩めないから」

「落ち込むのは、日ごろ頑張っているからだね」

などと言われると、救われる人もいるはずです。

 

部下は「(上司が)日ごろの頑張りを見てくれている」と知り、上司への信頼感をたかめるでしょう。

 

それだけでなく、「やってきたことはムダではなかった」と、仕事に前向きな気持ちになるに違いありません。

 

 

大事なのは部下への愛情

上司のさりげない日々のコトバがけが、部下の気持ちを左右します。

 

どうせ伝えるなら、愛情をもって。

 

そして、その愛情が、伝わる伝え方をえらびましょう。

 

ぜひ、実生活で取り入れてみてください。

 

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